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クレーン付きトラックを導入するときの節税(特別償却)
2019.12.05
中小企業者等が機械等を取得したときの特別償却
新品の機械等を中小企業者が購入したときは、税制上の優遇措置があります。特別償却と呼ばれる制度です。
機械や車で20万円以上のものは、原則として減価償却の対象となります。イメージとしては、機械や車は買ってから何年もの間使用することが通常なので、20万円以上のものは国税庁が定める耐用年数の期間にわたって使うでしょうと仮定して、その期間でようやく全額経費となるように処理します。買った時点で全額経費にできないわけです。
新車を200万円で購入した場合、車の耐用年数は6年と定められているので、その期間内で経費にしていきます。耐用年数6年の減価償却費は、200万円×(1年分÷6年)≒33万円が1年あたりの経費にできる額となります。毎年33万円経費にして、6年間の合計で200万円近く経費になります。
このとき、特別償却という制度が使えると購入年度の減価償却費をグッと増やすことができます。上記のケースですと、購入した年度の減価償却費は、33万円+200万円×割増償却率30%=93万円となります。経費が増える分、節税効果が生まれるわけです。
この特別償却の対象となる減価償却資産は下記に限定されています。何を買っても30%割り増しで償却できるわけではありません。
①機械及び装置で1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
②製品の品質管理の向上等に資する測定工具及び検査工具(平成24年4月1日以後に取得等をしたものに限ります。)で、1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの
③②に準ずるものとして測定工具及び検査工具の取得価額の合計額が120万円以上であるもの(1台又は1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。)
④ソフトウェアで次に掲げるいずれかのもの
イ 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの
ロ その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの
⑤車両及び運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のものこのうち、建設・建築業で該当しやすいものとして⑤があります。A.車検証(自動車検査証)に「最大積載量」欄に記載があるもので、B.車の総重量が3.5トン以上で、かつC.普通自動車であることの記載も車検証の自動車の種別の欄で確認できることが必要です。A,B,Cすべて車検証を見れば、すぐに分かります。節税の第1歩は車検証のチェックです。ちなみにA,B,Cすべてクリアが必要です。
そのうえで実際に貨物の運送に使用することは当然求められます。要件の説明だけですとピンとこないかもしれませんが、例えばクレーン付きのトラックが該当します。↓のようなトラックです。
(参考)租税特別措置法第42条の6の対象となる車両運搬具の範囲について
ちなみに、貨物自動車については、耐用年数は6年ではなく5年になります。耐用年数が短いほど減価償却費は増えるので単なる普通乗用車よりも節税スピードが速いのも特徴です。
似たような名前で「トラック・クレーン」というものがあります。建設現場の組立作業に主に使用されるものですが、トラックと呼ばれていますが、税務においては車ではなく「機械装置」の区分となります。貨物の運搬用のクレーンとは異なるからです。
トラック・クレーンの場合は、①に該当することになりますので、もちろん特別償却は同様に適用できます。耐用年数は、機械装置の総合工事業用設備として区分され、6年となります。ややこしいですが、混同しないようにしましょう。(貨物自動車の登録を受けてないので判断はできます)
中古購入では優遇税制は適用できない
ただし、この特別償却に限らず、設備投資における優遇税制は新品購入だけが対象です。中古の購入については一切の特別償却は不適用となります。
優遇税制を使えるからといって新車を選ぶという方は少ないとは思いますし、中古を割安に変えた方が節税以上の節約効果もあるでしょうが、貨物自動車は値崩れがしにくいことから中古でも人気があるため、中古よりも新車の方が早く納品できるケースも多いでしょう。新車で買った場合は、ぜひ優遇税制を使うことを忘れないようにしたいところです。
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