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個人事業の建設業に、税務調査が入りやすい理由
2019.12.21
個人事業の建設業は、申告漏れ額が多い職種
個人事業の建設業は、そもそも申告漏れ金額が多い業種です。下記は、名古屋国税局が令和1年11月に発表している「平成30事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」に記載されている、申告漏れ所得が多い個人事業の職種ワースト10です。平成30年7月から令和元年6月までの実績で集計されたものです。
10職種のうち、じつに半分の5個が建設業関連の職種となります。
1 貨物軽車両運送 2 土木工事 3 特定貨物自動車運送 4 とび工事 5 機械部品受託加工 6 一般海面漁業 7 建設、設備工事労務者 8 人材派遣業 9 防水工事 10 外構工事 そもそも不正(過少申告)が多い職種と税務署も認識しているため、税務調査の重点職種として他の職種よりもピックアップされやすいと言えます。
元請先に税務調査が入ると、下請け個人事業に調査が来る?
近年では、いわゆる訪問型の税務調査(実地調査)だけではなく、「簡易な接触型の調査」も増えています。訪問はせず、書面や電話等で修正申告や無申告であることを改めたり、税務署に来るように通知することを簡易な接触といいます。簡易な接触数は実地調査よりも多く、8倍近い数の簡易な接触が行われています。実地調査10,648件に対し、簡易な接触は 89,751件もあります。
簡易な接触は、訪問せずとも明らかに申告が漏れている事実を税務署は把握したうえで連絡しています。そして、その事実把握ができる機会が元請先の税務調査です。
元請先に税務調査が入ると、調査の後半に入ると「外注費」という勘定科目がチェックされ、そこで法人ではない、個人事業者への支払いはメモされることが通例です。元請先の外注費の総勘定元帳(どの業者に、いつ、いくらで払ったかが分かる)をコピーすることも多いです。
元請先で外注費として経理処理されているからには、受け取った外注先は当然、売上として申告しているはず、だけ貴方の確定申告書に記載されている売上高は少ないですよ、間違っているのではないですか?正しく申告(修正申告)してくださいね~というのが簡易な接触です。言い逃れできない証拠をつかんだうえで、自主的に申告した方が良いのではないですか?と促すわけです。
無申告や過少申告は、融資を申し込むときにも問題になる
または、根本的に申告すらしていないケースも多いでしょう。特に個人事業を始めて2・3年の間は申告を放置しているケースもいまだに見受けられます。無申告の状態は違法であることはもちろんですが、公庫等で融資を受けようとする場合も問題が起きます。当たり前ですが日本政策金融公庫や信用保証協会は、事業者の義務である確定申告をしていない事業者を受け入れることは、まずありえません。公的な機関である以上、当然です。
また、納税したくないという理由で過少に申告(売上を除外したり、プライベートの支出を経費に入れて申告する経費の水増し)することも、融資を受けようとするときに問題になります。そもそも利益が少ない事業に融資をしても返済できない可能性が高いためです。
節税のためにわざと申告所得を少なくしていると言い訳をしても、審査する側はあくまで税務署に申告している数字で判断しますし、わざと少なく申告しているという行為自体も当然、嫌悪されます。
バレないだろう、とか目の前の税金をとにかく減らしたい、といった安易な気持ちで進めたことが後で大きなことになりがちです。確定申告を正しく済ませておくということは、税務署だけの問題でもないので気をつけたいところです。
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