建設国保と法人成りについて

普通の国保と建設国保の違いとは?

いわゆる一人親方などの個人事業で建設業を営む方は、原則としては「国民健康保険」+「国民年金」に加入することになります。扶養している家族がいる場合は、家族も同じ保険に入りますし、配偶者も自分で国民年金に加入することになります。

 

ただし、建設業の方は国民健康保険(国保)の加入に代えて、いわゆる建設国保に加入することもできます。国保と建設国保の大きな違いは保険料の算定方法です。

 

国保は、家族数と家族全体の世帯所得によって増減します。家族が多く、所得が高いと保険料が増えるわけです。保険料率は保険料を徴収する各市区町村で異なりますが、名古屋市の場合ですと、令和元年度は下記が保険料の内訳となります。3つの区分に分けて計算したものを合算して払うことになります。

 

名古屋市の国民健康保険料の内訳と計算式
内訳  均等割額  所得割額  限度額
医療分 42,568円×被保険者数 被保険者全員の(所得-基礎控除33万円-独自控除額)の合算額×0.0785  610,000円
支援金分  12,967円×被保険者数 被保険者全員の(所得-基礎控除33万円-独自控除額)の合算額×0.0237  190,000円
介護分 14,599円×介護2号被保険者数 介護2号被保険者全員の(所得-基礎控除33万円-独自控除額)の合算額×0.0209  160,000円

 

介護分は、40歳以上64歳未満の方が対象(介護2号被保険者)となります。それぞれ限度額があるので3つの合計で860,000円で保険料は頭打ちになります。それ以上の徴収を受けることはありません。

 

独自控除額というのは、所得税での扶養親族控除に該当するものです。原則として扶養親族1人あたり33万円となります(障害者控除の対象となっている場合は控除額が増えます)。

 

これに対して建設国保はもっとシンプルです。単純に自分自身と家族の「人数」と「その年齢」によって保険料が変わります。簡単に言えば年齢が上がると保険料も増えます。所得が増えれば保険料が上がるわけではないので、保険料額が毎年大きく変動することはないわけです。

 

その代わり、工事の発注が少なくて仕事が少ない年でも保険料は変わりなく払うことになります。愛知建連国保の国民健康保険料では、例えば、所得がいくらであっても30歳の建設国保料は月額18000円で(年額216,000円)となります。

 

区    分 保 険 料 月 額

1名当たり合計

(①+②+③)

①医療分

②後期高齢者
支 援 金 分
③介護納付金分

組合員1種

(事業主のことです)

25歳未満 9,000円 7,000円 2,000円
25歳~29歳 16,000円 13,000円 3,000円

30歳~39歳 18,000円 15,000円
40歳~54歳 23,000円 16,500円 3,500円
55歳~64歳 23,000円 16,500円
65歳~74歳 21,000円 18,000円

 

この事業主分の保険料にプラスして、家族分の国保料がかかります。次の保険料月額です。事業主同様に年齢が上がると保険料も高くなります。

 

区    分 保 険 料 月 額
一人当たり 医療分 後期高齢者
支 援 金 分
介護納付金分

配偶者 0歳~6歳
7歳~18歳
19歳~24歳 6,000円 4,000円

2,000円

25歳~29歳
30歳~39歳
40歳~54歳 8,000円

2,000円
55歳~64歳
65歳~74歳 6,000円

 

その他家族 0歳~6歳 3,000円 1,000円 2,000円

7歳~18歳 4,000円 2,000円
19歳~24歳 6,000円 4,000円
25歳~29歳 8,000円 6,000円
30歳~39歳 10,000円 8,000円
40歳~54歳 12,000円 2,000円
55歳~64歳
65歳~74歳 10,000円

 

家族の年齢さえ分かれば、計算は簡単。そして繰り返しますが所得がいくらであろうと保険料額に影響しません。 若いうちは保険料が安いのが特徴です。 国民年金については建設国保のような特例はありません。一律同額の年金保険料(令和元年度は月16,410円)となります。

 

法人は、建設国保に加入できない?

 

個人事業者は建設国保に加入できる。では、法人は加入できるのか?答えはNOです。加入できません。ただし、既に建設国保に加入している個人事業者が法人成りするときは引き続き建設国保に加入することができます。

 

言い換えれば、脱サラした人が法人を設立するようなケースだと建設国保に加入できません。この場合は社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することになります。ややこしいので、まとめると下記となります。

 

  医療保険 年金保険
会社の形態 健康保険(社保) 建設国保 厚生年金  国民年金
法人(脱サラ)

法人

(個人事業からの法人成り)

    ○ ※②
個人事業主
(任意加入)※①
保険料 給与✕16%程度 年齢ごとに一定額 給料✕9%程度 16,410円/月
扶養家族が増えた場合の保険料 変動なし 増加する 変動なし 変動なし

 ※① 事業主自身は加入できない。従業員は加入できる。
 ※② 個人事業で建設国保加入済みの場合は、引続き加入可能。

 

社会保険の場合は、月給が増えると保険料が増えていきます。法人の場合は代表者や役員も給与という形でしか収入を得られないので、給与が増えれば保険料は自動的に増えていきます。所得が増えると保険料も増える国保とイメージは近いかもしれません。ただし、配偶者や扶養親族が増えても保険料は増えません。ここが社会保険と国保・建設国保との大きな違いです。

 

さらに、社会保険では配偶者は第3号被保険者と呼ばれ、年金保険に加入しなくとも国民年金を払ったものとみなされます。配偶者を扶養に入れても保険料は変わらず、かつ配偶者の国民年金も払ったことになるわけです。(もちろん、配偶者の収入によっては扶養扱いできないことがありますので注意してください。年間130万円以上の収入のある配偶者は、自分で国民年金を払うか勤務先での社会保険に加入することになります。)

 

個人事業から法人成りでない場合、法人は社会保険に強制加入となるため、選択の余地はありません。給与がゼロでない限りは社会保険に加入することになります。そのためどの保険に入ろうかと迷うことは一切ありません。建設国保に加入していた個人事業者が法人成りをした場合は①社会保険(健康保険+厚生年金)もしくは②建設国保+厚生年金 のいずれかを選択することになります。

 

法人成りの前に、保険料がどれぐらい変わるかを試算したうえで、会社を設立しましょう。

 

 

 

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