請負現場で役立つ資格の講習費を会社が払うことはOK?

 

建設現場で求められる資格の取得費用

 

 

建設・建築業の現場では求められる資格や免許があります。その資格・免許のあるなしで、できる仕事も異なり、会社の売上にも影響があります。資格・免許があることで単価の良い仕事を引き受けることもできます。そのため、資格や免許取得者には資格手当として給与を増やす会社も増えています。

 

そのため、社長はもとより従業員にも資格・免許の取得を推奨し、その費用を会社が払ってあげるケースがあります。ここで気になるのが、「資格や免許は会社に帰属するものではなく、あくまで本人がずっと保有するものだから個人的なもの。その費用を負担すると税金かからないのか?」ということです。

 

ご安心ください。所得税では、会社の業務に必要な免許・資格を得るための費用を負担することに税金をかけません。この場合の税金は従業員の所得税になりますが、会社の業務に必要なものに限って非課税とされます。

 

(課税しない経済的利益)

使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品

所得税法基本通達36-29の2
使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。

 

例えば、油圧ショベル、パワーショベル(掘削用建設機械。ユンボとも呼ばれます。)を動かすための運転免許や、現場だけで使う場合でも車両系建設機械運転技能講習または小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育を受ける必要があります。

 

 

電気工事では、電気工事士の資格が求められます。弊社の関与先でも、空調機器の設置工事会社の社長自ら管工事施工管理技士の受験を試みている方もいました。資格・免許の有無が受注に影響してくる職種ではあります。

 

普通自動車の運転免許の取得費用も、現場に向かうためには必要な免許となりますので、その取得費用を会社が負担することも認められます。業務との関連性があれば広くその負担を税法は認めています。免許・資格以外でも、例えば、外国人のスタッフが多い会社であれば、日々のコミュニケーションを円滑にするために、その言語を学ぶ費用というのも問題ないと考えられます。

 

なお、あくまで「適正額」であれば所得税を課税しないということなので、実費が原則となります。実費は16万円だけどざっくり20万円渡すといったことだと、当然、その差額に所得税が課されることになります。個人で取得する免許・資格取得の費用であってもその費用を明らかにする領収書や申込書、そして得た免許・資格の証明書などのコピーは会社で保管しておきましょう。

 

仕事と無関係な自己啓発的なものはNG

 

広く認めらるといっても、あくまで会社の業務をしてもらう上で必要なものに限られます。従業員が単に学びたいという理由だけで、なんでも負担してよいわけではありません。自己啓発的なものやカルチャースクールなどの趣味的なものを学ぶ費用を会社が負担するのは、従業員に臨時ボーナスを払ったのと同じ扱いになり、税務調査では源泉所得税の徴収漏れの指摘を受けることになります。

 

また、多額の源泉所得税(1ヶ月あたり10万円以上)に該当する場合には、不納付加算税という罰金も同時に徴収されます。所得税の額の10%となります。

 

ちなみに代表者等の役員であっても、従業員と上記の扱いは変わりませんが、仕事と無関係の資格取得の費用を会社が負担した場合は、「役員への臨時ボーナス」と扱われ、源泉所得税が徴収されることは前述したとおりですが、さらに払ったお金そのものが会社の経費(損金)となりません。

 

役員への臨時的支出は損金とならないとする法人税の規定があるためです。従業員への臨時ボーナスは本人への所得税はかかるけど、会社としては経費にはなります。そこが役員と従業員の取り扱いの大きな違いになりますので注意したいところです。

 

 

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