建設業の売上・原価は工事完成基準で認識する

工事完成基準と工事進行基準

 

建設業では、売上と経費を計上するタイミングが2つあります。一つは、工事完成基準というもので、文字通り工事が完全に完成(引き渡す、検収を受ける)した時点で売上を始めて認識して計上します。仕入・外注等の原価も同様に完成するまでは経費処理しません。

分かりやすく言えば、工事が終わるまでは売上・経費の処理はしませんということになります。工事が終わるまでに中間金をもらったときは「未成工事受入金(前受金)とし、終わるまでに途中で下請業者に外注費を払った場合でも「未成工事支出金(前渡金)」とします。

 

その事業年度ですべての工事が完成していて、翌年度に繰り越す案件がない場合は、さほど気にすることはありません。規模の小さい建設業においては普段の経理を簡便化するため、期中は払ったら経費処理したうえで、決算のときのみ完成していない工事の原価を未成工事支出金に振り替えるという処理でも実務上は問題ありません。

 

工事完成基準が通常。進行基準を選択する会社は限られる。

 

これに対して工事進行基準は、工事の進行割合に応じて売上も原価も「見込み計上」していきます。工事が完成してなくとも、工事進行割合を計算して売上・原価ともに計上していくことになります。

 

工事進行割合 = (既に要した原材料費、労務費。経費の合計)÷見積もった工事原価

 

つまり、工事進行基準を使うには、工事原価を事前に見積もる作業と、その後実際にかかった原価の集計が求められます。非常に煩雑です。

そのため、多くの中小企業では下記すべてに該当しない限りは、工事完成基準を選択することが圧倒的です。下記に該当する場合は、法人税においては、強制的に工事進行基準が適用されます。

 

要件①:工事着手の日から工事完成(引渡し)日までに1年以上かかること
要件②:請負額が10億円以上
要件③:請負額の50%以上が、その工事の引き渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないもの

 

なお、上記①②③に該当しない工事でも、2事業年度以上にわたって行われる工事については、工事進行基準を選択することはできます。とはいえ、工事進行基準は見込みで利益を計上していくということなので、納税面では税負担が早くなります。節税面を考えても工事完成基準が望ましいといえます。

 

いずれにしても決算日時点で未完了の工事がある場合は、建設業の決算は少し手間を要するものです。個別の工事ごとの原価管理は必要となりますし、決算や税務申告で求められるから仕方なくやるというよりも、個別の工事の納期・採算を管理するという視点で取り組んでいただければと思います。

 

やはり、個別の工事の納期・採算をキチンとしている建設会社ほど儲かるし、資金繰りも改善されるというのが本音のところです。アバウトな経営は建設業では特に厳しいと感じています。

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