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  • 請負代金が回収できなくなったときの処理

    『元請先が倒産したので、代金が回収できなくなった。』建設業のお客さまから、年に何度か、このようなご相談をいただきます。このとき、『回収できないのは残念ですが、今期の決算で損失処理(貸倒損失)いたしましょう。』とは簡単に言えません。税法は、貸倒れについて簡単に認めていないのです。
     

    本当に回収ができないのか?という事実が客観的に証明できないと即時に貸倒れ処理はできません。単に払ってこない、夜逃げをしたというレベルでは税務署は認めてくれません。ただし、永遠に貸倒れを認めないわけではありません。今回は、どの時点で貸倒れを認めてくれるのか?という視点で、事例を追っていきましょう。

     

    取引停止1年が経過した売掛金(パターン1)

     

    取引停止の日(最後の工事完了・納品等の取引があった日、または最終入金日のいずれか遅い日)から1年経過した売掛金は、1円を差し引いた残額を貸倒れ処理できます。今決算中に取引停止した場合には、残売掛金は来期に貸倒れ処理できるわけです。1円を差し引くのは、法律的に債権が消滅したわけわけではなく、債権自体は存在しているためです。

     

    この貸倒れ処理はもっとも簡単で、税務署からもまず異論が出ない処理です。どうしても今期に貸倒れ処理する必要がなければ、お勧めの方法です。ただし、①あくまで売掛債権であること ②継続取引のある相手であること の2点が必要です。具体的にいいますと、貸付金などの売掛債権でないものは1年経過しても認められません。また、単発の取引での未回収金も対象になりません。

     

    (参考)3月決算法人の場合
    ・売掛金残 100万円で取引停止[令和2年3月]
    → 令和3年3月末日時点で1年経過
    → 令和3年3月期で1円を残して貸倒れ処理<貸倒損失99万9999円>

     

    そのため、初めての相手から単発の工事を受注する場合は一部前金をいただくことや、発注書・契約書をきちんと交わすといった、契約の保全はしておきたいところです。外注先への支払いも発生する工事ではなおさらです。

     

    1年経過していない売掛金を貸倒れ処理したい(パターン2)

     

    例えば、元請先に電話をしても連絡が取れない(いわゆる夜逃げ・音信不通)のケースを考えてみましょう。破産等の法的手続きを踏んでいるのであればまだしも、全くどうなっているか見当がつかないケースです。

     

    まず、「相手と何をやっても連絡が取れない。」という証拠を作る必要があります。会社に連絡が取れない、その会社の社長の自宅・実家にもいないという『ありとあらゆる手段を講じたが所在不明』という証拠を税務調査時に提示する必要があります。一般的には、内容証明郵便の送付(受取人がいないと戻ってくることで不在を証明)に加え、弁護士・信用調査機関への依頼などの『いかなる手をつくしても連絡不可能』な証拠を残すことが求められます。

     

    なお、相手方の決算書等の入手が可能であり、その会社が一定期間債務超過であることが確認できる場合は、相手方社長の個人保証や担保がない限り、即時に貸倒れ処理が可能です。(この場合、売掛金でなくとも処理可能です。もっとも、相手方の決算書入手は通常不可能に近いです。税務暑も教えてくれません。)

     

    証拠作りに時間と費用がかかることから、やむなく、パターン1の選択をするケースが多いでしょう。

     

    取引先が、破産申し立てをした場合。(パターン3)

    法的整理を相手方が選択した場合で、最もポピュラーなのが破産申し立てです。この場合、債権額の50%を損失処理(正確には貸倒引当金処理)することを税法は認めています。例えば、パターン1で述べたような1年未経過の売掛債権であれば、50%をとりあえず損失処理し、来期に残りの50%(ただし、1円だけ差し引く)も処理可能です。民事再生法の申し立て・手形交換所の取引停止処分(6か月以内に2度目の不渡りが生じた場合)の場合も同様に処理できます。

     

    なお、破産申し立て後、開始決定を受けた場合には、50%を超えた損失処理(例えば90%を貸倒引当金として損金処理)をすることも認められるものと思われます。

    これは、破産手続きによる残余財産の配当率を考えると、10%を超えることはまずあり得ないのが通例であることと、債務超過状態であることは決定を受けた以上は明らかなため、50%以上の処理も認められるケースが実務上、多いということです。

     

    ※破産廃止決定とは、破産費用すら払えないため財産整理を省略し、即時破産とすることです。開始決定と同時に廃止決定されることが多いようです。

     

    売掛債権でもない かつ 法的整理でもないケースは貸倒れ処理が難しい。

    ここまで読まれた方は、売掛債権であれば貸倒れ処理をすることは難しくないと感じたと思います。では、貸付金等の売掛債権以外の債権はどうなのでしょうか。結論としては、パターン3のような法的整理があった場合には、50%損失処理は認められますし、その後手続きが済めば債権放棄する金額も自ずと決まってくるので問題は少ないのですが、法的整理に移行していない場合は貸倒処理が非常に難しくなります。

     

    建設業の社長は、男気で知人への資金援助をするケースも多いと思いますが、貸付けた資金が返済されないからといって、それだけですぐに貸倒処理するのは税実務の現場としては難しいところです。

     

    結論としては、売掛債権のように1年経過しても貸倒れ処理はできないので、相手方が債務超過状態であることを立証しないといけません。パターン2で述べたように、相手方の現況を把握する必要がありますが、これが難しく、実務で難航するところです。

     

    なお、債務超過でもないのに貸倒れ処理(債権放棄)した場合には、貸倒れではなく、相手方への単なる利益供与(贈与)と認定されるため、税務上、損金処理が認められません。いわゆる有税償却(決算書上、貸倒れ損失処理はしているが、その分は税金申告では損失処理しない)となります。特に親会社が子会社へ貸し付けているケースでは、慎重な判断が求められます。

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