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建設業の売上計上の時期について
2022.04.18
建設業の場合、工事に着工してから完成までの期間が長く、売上計上をいつにしたら良いのか、どの程度計上したら良いのか迷うところです。
特に決算期をまたぐ場合など、売上計上の時期によっては売上や利益といった実績や、税金の支払い、資金繰りにも影響するため、悩ましいことも多々あるかと思います。
しかしながら、税務上、売上計上の時期は明確に定められていますので、確認してみましょう
建設業の売上計上のポイント
売上の計上ルールは次のようになっています。
(原則) 完成物を引き渡した日に計上する「完成工事基準」
(例外) 大規模工事の例外として、「工事進行基準」工事完成基準
工事完成基準とは、「工事が完成し、目的物の引き渡しを行った時点で、売上と工事原価を計上する方法」を指し、大規模工事に該当しない通常の工事には、「工事完成基準」が適用されます。なお、工事完成基準には、完成引き渡し基準と部分完成基準があります。
完成引き渡し基準
完成引き渡し基準でいう「引き渡しの日」とは、作業を終了した日、相手の指定場所に搬入した日、相手方の検収を受けた日、相手方が使用を開始した日など、工事等の種類および性質、契約の内容等に応じ、引き渡しの日として合理的であると認められる日で計上することになっています。そのため、日頃から伝票処理や納品書控え、請求書控えや領収書控えなどをきちんと保管し、当期に計上すべき売上円経費は期中に計上するようにしなければいけません。
部分完成基準
部分完成基準は、人るの契約で同種の建設工事等を大量に請け負ったような場合、工事の全部は完了していなくてもある一定の段階で部分的に工事代金を支払う契約や慣習があるときは、建設工事等の一部が完成した時点で工事代金を支払うことができます。
ただし、その場合の入金は「売上」ではなく、「未成工事受入金」に、支払った工事原価は「未成工事支出金」になるため、完工後にそれぞれ売上と工事原価に計上することで本来の売上と工事原価となります。また、工事進行基準を採用している工事について部分完成基準を採用することはできません。
工事進行基準
工事進行基準は、「工事完成基準」の例外で、次の該当する場合に認められています。
(1) 工期が、「長期大規模工事」の基準に該当する場合
(2) 長期大規模工事にあてはまらない場合、「進捗部分について成果の確実性が認められる」場合工事の売上高・原価の額をその事業年度終了時における工事の進捗割合に応じて計上することが認められています。工事進行基準を採用することで、完成工事高を増加させることにつながるため、経営事項審査の対策のひとつとして、工事進行基準を採用する場合もあります。
売上計上の時期と金額については、税務上細かく規定されていることではありますが、その判断は難しく、計上の方法によっては粉飾にもつながることから、税務調査では必ずチェックされる項目です。
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