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実行予算と原価管理について
2022.05.09
「受注金額に応じて工事をせざるを得ないので、工事が終わってみないと利益が残るかどうかわからない」
「他の会社と実際に原価を比べたことがないので、業界と比べて高いのか安いのかよくわからない」建設会社は、上記のように、原価管理・予算管理の必要性は感じているけれども、現実的には思うように管理できていないとお悩みの方も多いようです。
そこで、今回は実行予算と原価管理のポイントを再確認していきます。
実行予算管理と原価管理のポイント
(1)実行予算書を作成し、常に差異分析を行う
「実行予算を立てなければいけないことはわかっているけれども、立てたところでその通りにはいかないから意味がない」という声をよく耳にします。
しかしながら、受注した金額でもしっかり利益が出るように計画を立てるものが実行予算書であるならば、実行予算書がないまま工事を進めていては工事が終わってみないと利益が出るかどうかわからないことも当然と言えます。
(2)直接工事費の中身を正しく把握する
工事原価は大きく、材料費・労務費・外注費・経費に分かれます。現場単位で利益を出すためには、前述の実行予算と工事原価の差異分析を行いながら、原価と利益を管理しなければなりません。そのためには、まずは工事原価の中身を正しく把握する必要があります。
材料費
工事に使用した材料の費用のことですが、材料費として計上するのは使用するために購入した金額すべてではなく、「実際に現場で使用した部分のみ」となります。そのためには、棚卸をしっかりと行い、他の工事との共通材料や倉庫の残っている在庫を把握する必要があります。面倒な作業かもしれませんが、材料費がブレると原価も大きくブレますので、しっかりと管理をすることが必要です。労務費
労務費は、現場作業員に支払う給料や賃金、手当などのことで、アルバイト・契約社員・正社員など雇用形態に関係なくすべて労務費に含みます。会社によっては、社長や役員の方々が現場に出ている場合もあり、役員の方の分を労務費にどこまで含めるか判断に迷うことと思います。外注費
外注費は、工事や工事の一部を他の業者に発注した指しにかかった費用のことですが、建設業においては「給与と外注費の区分」は税務署が最も目を光らせている箇所のひとつです。なぜならば、作業員の給与を外注費とすることで、企業側に源泉税・社会保険料・消費税当の面でメリットがあるからです。税務調査でも必ず確認されますので、正しく処理したいところです。経費
材料費・労務費・外注費に含まれない原価はすべて経費となりますが、実際には経費を工事原価に含めてしまったり、一般管理費に含めてしまったりと、運用があいまいとなっている場合が多いようです。(3)建設現場では複数の現場を同時進行で進めることが多い
複数の現場を同時進行で進める場合は、下記について、各工事の工事原価に配賦しなければいけません。
・複数の現場を簡易する従業員の人件費や法定福利費
・複数の現場を管理する事務所の運営費や諸経費
・各現場で原価に算入しなかった共通の副材料費
・建設材料や建設機械、車両などに係る各種費用その際、配賦の考え方には「一括配賦法」「グループ別配賦法」「費目別配賦法」などが定められています。
(4)工事台帳を作成し、工事別原価を正しく集計する
工事台帳とは、個別の工事ごとに直接工事費(材料費・労務費・外注費・経費)や間接工事費を集計するための台帳です。工事台帳を作成することで、工事の完成を待たずとも工事別の原価の内容や工事の進捗に応じた予算管理を行うことができるため、利益管理を行うためには不可欠な帳票ではありますが、記録が面倒であるという理由で作成していない場合もあります。
今回は、原価管理・予算管理についてお伝えしました。お悩みの方はお気軽にザイムパートナーズにご相談ください。
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