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工事の丸投げは禁止されています
2022.05.16
建設工事を行うにあたり、下請会社へ工事の丸投げは禁止されています。建設業法では、下請会社への工事の丸投げを「一括下請負」といいます。今回はこの一括下請負の禁止について確認していきます。
一括下請負とは
元請会社が受注した建設工事を一括して他人(下請)に請け負わせること、いわゆる工事の丸投げのことを一括下請負といい、建設業法第22条で禁止されています。
建設業法の目的の1つに、「工事を発注した者(発注者)の保護」があります。発注者は、元請会社を信用して、工事を依頼しているため信頼を裏切ることになると判断されるためです。また、中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化を招くことにもつながりかねないとされます。
元請会社は、下請会社にすべてを丸投げするのではなく、それぞれが役割を果たさなければいけません。元請・下請それぞれが果たすべき役割は以下の通りです。現場に主任技術者・監理技術者を配置しているだけでは関与している事にはなりません。
元請が果たすべき役割
施行計画の作成 ・請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成
・下請負人の作成した施工要領等の確認
・設計変更等に応じた施工計画書等の修正工程管理 ・請け負った建設工事全体の進捗確認
・下請負人管の工程調整品質管理
・請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認 安全管理 ・安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置 技術的指導 ・請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認 その他 ・発注者等との協議・調整
・下請負人からの協議事項への判断・対応
・請け負った建設工事全体のコスト管理下請が果たすべき役割
施行計画の作成 ・請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成
・下請負人が作成した施工要領書等の確認
・元請人等からの指示に応じた施工要領等の修正工程管理 ・請け負った範囲の建設工事全体の進捗確認
品質管理
・請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則) 安全管理 ・協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置 技術的指導 ・請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守
・現場作業に係る現地の技術指導その他 ・元請負人との協議
・下請負人からの協議事項への判断・対応
・元請負人等の判断を踏まえた現場調整
・請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理
・施工確保のための下請負人調整一括下請負に該当するケース
一括下請負に該当する工事かどうかは、元請会社が請け負った建設工事1件ごとに判断されます。建設工事1件とは、原則、請負契約単位で判断されます。
すべての工事を丸投げする場合以外にも、次のようなケースが一括下請負として判断されます。
1.請け負った建設工事の全部またはその主たる部分について、元請会社自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
例)電気工事の配線工事において、元請会社は配線工事に伴う内装工事のみを行い、主となる配線工事を1社に下請負させる場合
2.請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請負わせる場合
例)建売住宅10件の新築工事を請け負った会社が、そのうちの1件を下請負する場合
一括下請負の例外
一括下請負は、公共工事に関しては全面禁止されていますが、例外的に民間工事の場合は、発注者の承諾を受ければ一括下請負が認められるケースがあります。
ただし、民間工事の場合であっても共同住宅(例:マンションやアパート、団地)を新築する工事の場合は、一括下請負が禁止されています。
一括下請負を行うと、原則的には営業停止処分となります。また、一括下請負を行った建設業者は工事を行っているという判断がされないことから、経営事項審査での完成工事高に一括下請負を行った金額を含めることができません。
一括下請負の禁止は、建設業許可業者でなくても対象となりますので、注意が必要です。
(参考)
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