社会保険の納付猶予特例について(コロナウイルス対応)

建設業の現場でも、コロナウイルスを原因とする休業がでています。

休業にあたって、雇用調整助成金の支給を検討される方も多いと思いますが、ここで一点気をつけたいことは社会保険料の負担です。

休業させても、休業手当を支払うようになっても、いきなり社会保険料は減りません。休業前の金額での社会保険料が今までどおり、預金口座から振替えられてしまいます。

これは、社会保険料は固定手当の変動があったときから3か月経過しないと改定にならないためです。休業手当も労働法令上、通常の月給と同じ「賃金」と同じ扱いだからです。5月に休業をさせて、通常に賃金ではなく、休業手当を支払うことになっても、その状態が3ヶ月経過した8月にならないと社会保険の等級(標準報酬月額)は変更しないルールとなっているためです。

休業させたから、仕事してないので賃金をゼロにする・・・ということは、実は労働基準法では認められていません。理由は本人の都合で休むわけではなく、あくまで会社指示での休業となるためです(実際は、コロナ等の外部環境や取引先の都合による休業ではあるのですが・・・)

平均賃金の60%以上を支払うことが、会社に義務付けられています。平均賃金は、下記の①②のうち多い方の金額とされています。これは必須となります。

 

① 休業事由の発生日以前3 か月間の賃金総額 ÷ 休業事由発生日以前3 か月間の総日数

② (①の3 か月間の賃金の総額 ÷3 か月間の実労働日数 )×60%

 

「休ませているのにいくらか給与は払わないといけないのに、社会保険料は減らずにそのまま払わないといけないのか?」このご質問をいただくことが多いのですが、結論としてはそのとおりということになります。

ただ、社員を休ませざるを得ない状態 イコール 会社としても仕事(売上)がないということであり、会社の資金繰り上、毎月の社会保険料負担は非常に大きいものです。これに対して、2020年4月30日より、社会保険料の納付猶予の特例が設けられています。

 

納付猶予特例を申請すると、毎月の口座振替が停止できます。

 

社会保険の納付猶予の特例を申請すると、2020年2月1日以後に納付期限がくる社会保険料から納付を止めることができます。口座振替そのものも2021年1月納期限分(2020年12月分)まで停止されます。
3月までの社会保険料をとりあえず納付することはなくなります。

特例を受ける要件は、売上が前年比20%ダウンの月があればOkです。例えば、2020年5月の売上が800万円で、前年5月の売上が1000万円の場合は、収入減少率が20%となり、この特例が使えます。もちろん申請なしでは特例は使えないのでご注意ください。

ただし、あくまで猶予による停止です。根本的に免除されたわけではありません。売上が回復したら納付はしないといけないということは忘れないようにお願いします。

 

同様の制度が労働保険料にも用意されています。また、国税・地方税にも同条件で猶予ができます。条件は同じでも、申請はそれぞれ別々に行うことになるのが面倒ではありますが、猶予されると遅れて支払ったときにかかる延滞金が免除(これは猶予ではなくゼロになります)されるので、面倒でもすべてやっておきたいところです。

 

猶予特例の具体的な申請書類等

 

次に申請書類のダウンロード先やFAQが記されています。申請書類そのものはA4用紙2枚ですし、様式もほぼ同じです。今回は緊急時ということもあり、簡素化されています。税理士や社会保険労務士に代理申請そてもらうのも一つでしょう。

 

①厚生年金保険料等の納付猶予の特例について https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200501.files/02.pdf
②労働保険料等の納付猶予制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10647.html
③国税の猶予制度の特例について
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
④地方税の徴収猶予における対応について
https://www.eltax.lta.go.jp/news/01689
 

売上が減少した証拠(試算表や売上高の総勘定元帳など)は、社内で保管が必要となりますし、確認が求められることも当然ありますので、揃えたうえで特例申請を進めましょう。

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