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  • 経営事項審査のポイント~その3 Y点算出の指標と、指標ごとの寄与度

    2021.10.18

     

    引き続き、経営状況評点のYについて解説します。実は、Yの8つに経営指標には『寄与度』というキーワードがあります。

    それぞれの指標ごとに影響割合が異なります。つまり、寄与度の高い指標を改善するとY点が上がりやすくなるわけで、経営事項審査において良い影響がでるわけです。

    何を判断している? 経営指標 寄与度 経営指標の算式 算出基準 表示 備考
    負債抵抗力 純支払利息比率 29.9% (支払利息-受取利息配当金)÷売上高 直前期 小さいほど良い評価
    負債回転期間 11.4% (流動負債+固定負債)÷(売上高÷12ヶ月) 直前期 ヶ月 小さいほど良い評価
    収益性・効率性 純資本売上総利益率 21.4% 売上総利益÷2期平均の総資本(※) 直前期 % 大きいほど良い評価
    売上高経常利益率 5.7% 経常利益÷売上高 直前期 大きいほど良い評価
    健全性 自己資本対固定資産比率 6.8% 自己資本÷固定資産 直前期 大きいほど良い評価
    自己資本比率 14.6% 自己資本÷総資本 直前期 大きいほど良い評価
    絶対的力量 営業キャッシュフロー 5.7% (経常利益+価償却実施額±引当金増減額-法人税住民税及び事業税±売掛債権増減額±仕入債務増減額±棚卸資産増減額±受入金増減額)÷1億円 直前2期平均 絶対額 大きいほど良い評価
    利益剰余金 4.4% 利益剰余金÷1億円 直前期 絶対額 大きいほど良い評価

     

    黄色でマークした指標の寄与度だけで70%近いので、分かりやすく前半の4つを上げることを推奨する方もいますが、近年の低金利化では純支払利息比率が著しく改善することはないと言っても良いかもしれません。

     

    例えば、年商2億円の会社が1億円借りていたとします。年1%の利率であれば支払利息は100万円です。純支払利息比率は100万円÷2億円=0.5%です。寄与度29.9%を乗じても 0.5×29.9%=0.15です(小数点3位未満四捨五入)評価点で1点にもなりません。つまり、今の時代で純支払利息比率を改善しても大した結果は得られない可能性が高いわけです。

    そうすると、次に狙うべき指標は寄与度21.4%の総資本売上総資本利益率です。この指標を改善するには、そもそもの工事の利益率を高めたうえで、無駄な販管費を削減していくことは当然として、分母である総資本を小さくすることを検討する必要があります。

     

    総資本は総資産と読み替えても良いです。つまり、貸借対照表に記載されているすべての資産を指します。この資産を小さくするには、次の2つが有効です。

    ①現預金残高に余力があれば、借入を減らして資産である現預金を減らす。

    念のためですが、経営事項審査に現預金残高が多いから評価が上がる項目はありません。そして借入が減ることは負債回転期間を減らす意味でも有効です。(あくまで通常の運転資金に影響がない範囲で)

    負債回転期間の寄与度は11.4%とこれも8つのうち4番目に寄与度の高い指標です。そのため、一石二鳥と言えます。

    ②不要な資産・稼働の少ない資産の売却・除却

     

    例えば、未使用の土地や長期に渡って残っている材料在庫、使ってはいるが利用頻度の低く、なくとも支障がない会員権や含み損のある有価証券や関係者への出資金などが考えられます。つまり建設業の本業にはなくとも影響がない資産を処分します。

    この時の売却損を営業外費用の科目で処理すると、売上高経常利益率にマイナスの影響があるため、できるかぎり特別損失で処理することを推奨します。(ここは会計事務所に伝えた方が良いでしょう)

     


    資産が減るということは損失が生ずるということなので、純資産は減少します。ある指標が改善すれば別の指標が下がるということは起きます。ただ、Y点は各指標の総合点なのでトータルでの点数が上がるのであれば実行する価値はあります。

    損失が生ずれば純資産が減るので、純資産に連動する指標である自己資本比率や利益剰余金は減りますが、損失による節税効果は流動負債(未払法人税等)を減らすため、やはり負債回転期間の減少にも寄与します。

    節税効果もあることを考えれば一考の余地はありますし、私見ではありますが、会社に資産性が乏しいものがないかの検証は、経営者や経理担当者のメンタル的にもスッキリして良い効果が得られるとも思われますし、総資本の減少というとネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際は逆です。同じ利益を稼ぐのであれば少ない資産で稼ぐ方が資産効率が良いからです。少なくとも経営事項審査においてマイナスになることは限定的だと考えられます。

     

     

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