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令和5年1月施行予定の経営事項審査案が公表されました!
2022.03.25
今回の改正では、①担い手の育成・確保、②災害対応力の強化、③環境への配慮の3点の推進を後押しする内容になっています。
令和5年1月に施行予定であり、確定された情報ではありませんが、W点に影響のある改正案となっています。W点は業種に関係ない、共通項目となりますので、全業種において底上げできる箇所になります。
主な改正内容
W点(その他社会性)に関する項目が改正の対象です。
下表の通り、現状W9(若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況)、W10(知識及び技術または技能の向上に関する取組の状況)の項目がW1へ再編となります。(評点の変更はなし)再編に合わせて、W1の項目名も「担い手の育成及び確保に関する取組の状況」と変更されました。さらに、W1点に、「WLB(ワークライフバランス)に関する取組の状況」「CCUS(建設キャリアアップシステム)の導入状況」という2つの項目が追加され、W7(建設機械の保有状況)、W8(国際標準化機構が定めた規格による登録状況)については加点対象が拡大します。
改正にあたり、W点の素点が【現行:217点】から【改正(案):237点】に変更になることから総合評点であるP点への換算式も変更され、項目に対してのウエイトが低くなります。改正後、変更なし(現状維持)の状態で経審を受けるとP点が下がる可能性が高いので注意が必要です。
実際のW点の表で現行、改正案を比較するとこのようになります。
【現行】【改正案】項目 評点
(最大)項目 評点
(最大)W1 労働福祉の状況 (45) W1 担い手の育成及び確保に関する取組の状況 (77) ①雇用保険の加入状況 -40 ①雇用保険の加入状況 -40 ②健康保険の加入状況 -40 ②健康保険の加入状況 -40 ③厚生年金保険の加入状況 -40 ③厚生年金保険の加入状況 -40 ④建退共の加入状況 15 ④建退共の加入状況 15 ⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入 15 ⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入 15 ⑥法定外労災制度の加入状況 15 ⑥法定外労災制度の加入状況 15 ⑦若齢技術者及び技能者の育成及び確保の状況 2 ⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況 10 ⑨WLBに関する取組の状況【新設】 5 ⑩CCUSの導入状況【新設】 15 W2 建設業の営業年数 60 W2 建設業の営業年数 60 W3 防災活動への貢献の状況 20 W3 防災活動への貢献の状況 20 W4 法令遵守の状況 -30 W4 法令遵守の状況 -30 W5 建設業の経理の状況 30 W5 建設業の経理の状況 30 W6 研究開発の状況 25 W6 研究開発の状況 25 W7 建設機械の保有状況
(災害復旧工事で活用される代表的な6機種について加点)15 W7 建設機械の保有状況
(既存の6機種の他に加点対象を拡大)15 W8 国際標準化機構が定めた規格による登録状況 (10) W8 国際標準化機構が定めた規格による登録状況等 (10) ①ISO9001 5 ①品質管理に関する取組(ISO9001) 5 ②ISO14001 5 ②環境配慮に関する取組
(ISO14001、エコアクション21)5 W9 若齢技術者及び技能者の育成及び確保の状況 2 合計(最高点) 237 W10 知識及び技術又は技術の向上に関する取組の状況 10 合計(最高点) 217 それぞれの改正内容の詳細です。(W9、W10については、再編のみのため省略します)
W1 ⑨WLBに関する取組の状況 (新設)
経営事項審査では評価対象となっていなかった、ワークライフバランス(WLB)に関する項目の新設が予定されます。働き方改革の一環として、ワークライフバランス(WLB)に関する認定制度のうち、次の認定を受けていれば加点となります。種類(段階)によっても加点点数が異なります。また、複数認定を受けている場合は、加点点数が一番高いものが選択されます。
認定制度 概要 加点(案) くるみん認定 仕事と子育ての両立支援に取り組んでいる企業を認定する制度 5~2点 えるぼし認定 女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度 4~3点 ユースエール認定 若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況等が優良な中小企業を認定する制度 4点 W1 ⑩CCUSに関する取組の状況 (新設)
今回の改正でも、CCUS(建設キャリアアップシステム)に関する項目が追加されました。すでに、技術職員数の評価項目(Z点)や、知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W点)でCCUSに関する項目があります。2023年度には、公共工事・民間工事問わずCCUSの完全実施を目指すとされていることから、本格的に導入を検討する時期になってきたのではないでしょうか。
加点要件としては、下記の通り、CCUS(建設キャリアアップシステム)を登録しただけではなく、実際に運用していることが求められます。「工事に従事する者が就業履歴を蓄積するために必要な措置(カードリーダーの設置等)」をしていることが必要であり、下請も含めた技能者のカード保有までは求められていません。
要件 評点 直近事業年度に施行したすべての建設工事(元請工事のみ)において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー当の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること 15 直近事業年度に施行したすべての公共工事(元請工事のみ)において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー当の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること 10 公共工事では全部の工事委でCCUSの利用環境を整えていない場合については、加点の対象外です。「すべての工事で利用できる」、あるいは「すべての公共工事で利用できることが対象」です。もちろん、CCUSの現場登録内容は蓄積されるので、不正はできません。
W7 建設機械の保有状況(拡大)
現在加点対象となっている建設機械(ショベル系掘削機、トラクターショベル、ブルドーザー、移動式クレーン(つり上げ荷重3トン以上)、大型ダンプ、モーターグレーター)に加えて、実際の災害対応で活躍している建設機械も対象となることが検討されています。
W8 ②環境配慮に関する取組(拡大)
現行でも、ISO14001取得をしている場合は加点されていますが、加えて、エコアクション21を加点することが検討されています。競争参加資格審査でも加点する自治体(31団体で評価)があり、今後、より多くの自治体が加点対象とすることも考えられますので、加点の1つとして検討してみてください。
今回の改正で、さらに建設キャリアアップシステムの重要度が高まってきたように感じます。改正内容の中で、も、加点を狙うことを考えると、建設キャリアアップシステム関連が一番目指しやすいのではないでしょうか。(他の認定制度等は、取得までにどうしても時間がかかってしまいます。)公共工事でも建設キャリアアップシステムを要件の一つとすることも増えていますので、登録をするメリットは大きいです。
現在は、任意加入(外国人を採用する場合は義務)ですが、今後義務化される可能性もありますので、早期導入はお勧めです。
建設キャリアアップシステム導入にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
(参考)
国土交通省 経営事項審査の改正について
厚生労働省 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマーク
厚生労働省 女性活躍促進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
厚生労働省 ユースエール認定制度
一般財団法人 持続性推進機構prev.経営業務管理責任者は本社に常駐しないといけない?
next.経営事項審査(経審)って?概要を確認!
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