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設立第1期の会社が経審を受ける場合
2022.04.27
設立第1期の新設法人も、建設業許可の取得が完了していれば、経営事項審査を受けることができます。設立第1期の場合、はじめての決算が完了したか、決算前(決算未到来と言われます)で反映される結果が異なる部分があります。
ただし、個人事業主から法人成りしたケースの場合など事業の継承(事業の引継ぎ)が認められる場合は継承部分の実績も含めることができる可能性もあります。
審査基準日はいつ?
経営事項審査の基準日は、通常、決算日となります。経営事項審査では、この審査基準日時点における会社の経営規模・経営状況・技術力・社会性をもとに評価が行われます。
決算前の場合 会社設立日 決算後の場合 第1期の決算日 個人事業主で、決算前(確定申告前)に経営事項審査を受ける場合は、事業開始日が基準になります。
経営事項審査で影響を受ける部分
決算未到来の場合、決算後の場合のいずれも、設立第1期の場合には、一部点数を算出するに当たって通常とは異なる部分があります。影響を受けやすい部分について、「決算未到来の場合」と「決算後の場合」それぞれ確認していきます。
完成工事高(X1)
決算前の場合 0円 決算後の場合 第1期の完成工事高
※【2円平均】を算出するため、実際の完成工事高の50%の金額となる決算前の場合は、基準日が会社基準日になるので、当然完成している工事はない(=完成工事高0円)となります。
それに比べて、決算後の場合は、売上金額が確定した状態なので、決算までの完成工事高をもとに、X1点を算出できます。ただし、完成工事高は、「2年平均」「3年平均」の値を元に算出するため、1年しか実績のない状態では、「実績なし」と「第1期の完成工事高」の平均値が、X1点を算出するための数値となります。(「2年平均」を選択)
利益額(X2)
決算前の場合 会社設立日 決算後の場合 決算内容に応じて反映 利益額についても完成工事高と同様、決算未到来の場合は、当然利益が0円になります。
財務内容(Y)
決算前の場合 0点 決算後の場合 決算期間が12ヶ月に満たない場合、財務諸表金額に関わらず0点となる 経営事項審査でY点を算出するにあたり、審査基準日時点で12か月(365日)の営業実績があることが前提となっています。そのため、1日でも足りなければY点は0点となってしまいます。また、第2期以降も第1期・第2期あわせて、12ヶ月(365日)以上の営業実績がなければ0点になります。
技術職員(Z)
決算前の場合 0人 決算後の場合 決算日時点で条件を満たす場合、対象となる 技術職員については、審査基準日(決算日)時点で、6か月超の雇用があり、かつ、雇用期間に定めがない常勤職員(=一般的には「正社員」)が対象になります。よって、会社設立日が審査基準日となってしまう、決算前の場合は、技術者が0人となり、決算後の場合は、対象者がいれば評価対象となります。
元請完成工事高(Z)
決算前の場合 0円 決算後の場合 第1期の元請完成工事高
※【2期平均】を算出するため、実際の完成工事高の50%の金額となる完成工事高と同様の考え方で、決済前であれば0円、第1期の元請完成工事高を元に算出した数値となります。
建設業の経理の状況-公認会計士等の数(W)
決算前の場合 審査基準日時点に常勤職員としての雇用があれば対象 決算後の場合 決算前、決算後の場合では加点されるかどうかは変わりませんが、技術職員の加点との比較で記載しています。
この評価については公認会計士等の数とありますが、実務上では、建築経理士(1級・2級)の加点が大半かと思います。対象となる職員の数については、審査基準日に常勤職員としての雇用があればカウントできます。技術職員とは異なり、「6か月超の雇用」は必要ありませんので、忘れずに加点対象としたところです。
設立第1期の経審のタイミング
設立第1期の会社が経営事項審査を受ける場合、特に、決算前に経営事項審査を受ける場合は、審査基準日=会社設立日になることから0点となってしまう項目も多くなってしまいます。(当然、経営事項審査の結果通知書も通常と比べて空白や0点が多くなります…)そのため、急ぎで経営事項審査を受ける必要がなければ、決算を終えた後に受ける方が良いのかもしれません。ただし、決算後に受ける場合は、税務申告~事業年度終了届の提出、経営事項審査で結果が出るまでに5ヶ月程度かかります。
また、新設法人の場合は、完成工事高などで「2年平均」「3年平均」の値で算出する項目がありますので、会社の評価が完全に反映されるようになるまでは2年~3年ほどかかると考えていただけると良いかと思います。それも踏まえて、経営事項審査を受けるかどうか検討していただければ幸いです。
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