税務調査対応

建設業は税務調査の多い業種と言われますが、事実、国税庁の「不正発見割合の高い10業種(法人税)」には一般土木建築工事 / 職別土木建築工事 / 土木工事が常にランクインしています。

それだけ、税務調査が入りやすく、税務署から目をつけられているということなのでしょう。

では、建設業の税務調査ではどのような点を指摘されることが多いのか確認しておきましょう。

売上・原価計上に関すること

建設業は、工事期間も長く、期にまたがることも多いため、売上や原価計上の仕方によっては売上・利益・税額に影響を及ぼすため、税務調査でも重点的に見られることが多いです。

例えば

本来売上計上すべきところを検収が遅れている等の理由で売上を繰り延べていないか?

本体工事が完成しているにもかかわらず、追加工事等を理由により売上を繰り延べていないか?

売上値引きに異常な点はないか?

などが細かくチェックされています。

工事原価に関すること

工事原価に関しては

crop_3_2 売上と比較して、工事原価が低く(高く)はないか?
crop_3_2 端材(くず)の処分収入や預け資材が抜けていないか?
crop_3_2 仕損品や未着品など、棚卸資産関連に計上漏れがないか?
crop_3_2 機械設備の耐用年数は合っているか?

などを見られることが多いようです。

そのため、納品書、請求書等の原始記録の確認や、工事現場の機械、器具等と固定資産台帳などは、日頃からしっかりと記録を残しておくようにしましょう。

労務費関係

最近特に多いのが労務費関係で、主なチェクポイントは「架空人件費」の計上です。

給与明細や源泉徴収簿のチェックは勿論のこと、タイムカードや残業代の明細、作業日報などから従業員の就業事実を確認するなども行われておりますので、皆様はそのようなことはされないとは思いますが、しっかりと書類を残して、管理しておきましょう。

外注費関連

外注費の取り扱いについては「給与と外注費の区分」のところでもお伝えしましたように、会社側にメリット(消費税・源泉所得税・社会保険料等)があり、金額も大きいため、厳しくチェックされています。

外注扱いの妥当性については

looks_one 外注先が自ら請負金額を計算しているか
looks_two 役務の提供にあたり、他人の代替が可能かどうか
looks_3 役務の提供にあたり、事業者の指揮監督を受けるかどうか
looks_4 不可抗力等で完成品が滅失した場合、役務の請求を受け取り側ができるかどうか
looks_5 役務の提供に係る材料や用具はどちらが用意するのか

などに基づいて判断されますので、日頃からきちんとした運用を行うことが大切です。

交際費関連

最後は交際費関連です。建設業は他業界と比べ、多額の交際費を要する業種であるため、不正も行われやすく、税務調査でも厳しくチェックされています。

よく見られるのは、

crop_3_2 工事受注にあたっての謝礼金の取り扱い
crop_3_2 工事に対する反対運動を鎮めるための「地元対策費」として払われていないか?
crop_3_2 公共工事の談合で、入札を取り下げてくれた業者に対する「降り賃」の支払い
crop_3_2 工事の発注元の決定権者の個人に対するサービス工事や自宅の修繕などは混じっていないか?

など、税務署は業界の悪しき慣習は承知の上で調査を行いますので、決して侮れないと考えた方が良いでしょう。

以上が建設業の税務調査で良く指摘される内容ですが、税務調査はある日突然やってきますので、日頃からしっかりとした税務・会計処理を行い、書類関係を整備しておくことが税務調査から会社を守る秘訣と言えます。

ザイムパートナーズは、建設業の税務調査にも強い事務所ですので、心配な方・税務署から連絡があった方はお気軽にご相談いただければと思います。